原戸籍とは
原戸籍とは「改製原戸籍」の略語のことでで、「改製前の古い戸籍」を示します。
数十年毎に戸籍制度の改革があったのですが、その際に古い制度の戸籍は全て、新しい制度の戸籍に移行します。こうして移行の済んだ古い制度での戸籍を「改製原戸籍」といいます。
また、両者共に戸籍ですからこれを区別するため、改正前の戸籍を「原戸籍」、改正後の戸籍を「現在戸籍」と呼んだりすることもあります。
戸籍制度の改正
平成の改製
平成の改製は、平成6年の法務省令により実施されたもので、戸籍事務のコンピュータ化を目的としたものです。
以前は、戸籍謄本を交付するときには、戸籍簿という帳簿から戸籍原本を取り出して、それをコピーして、戸籍謄本として交付していました。しかし、現在、ほとんどの自治体で、戸籍事務がコンピュータ化されており、戸籍原本を謄写して謄本を作成する必要はなくなりました。
また、戸籍謄本は「戸籍 全部事項証明書」に、戸籍抄本は「戸籍 個人事項証明書」と名称を変えました。戸籍謄本は、戸籍簿に記載の全部の写し、戸籍妙本は戸籍簿に記載の個人の写しを指すようになりました。
さらに、コンピュータ化により、従来の「B4サイズ縦書き」から「A4サイズ横書き」へ変わり、項目ごとに見出しも加えられて読みやすくなりました。
昭和の改製
昭和の改製は、昭和23年に新しい戸籍法が施行されたことに伴い実施されたものです。しかし、戦後の混乱であったため、実際に改製されたのは昭和32年から昭和40年頃になりました。
昭和の改製以前の戸籍は、明治憲法下で「家」を基本単位としていたのに対し、昭和の改製では「夫婦」を基本単位とする戸籍に変更されました。これに伴い、戸主の欄が廃止され、筆頭者の欄が新設されました。また、華族、士族、平民、新平民などの身分事項欄も廃止されました。
改製原戸籍の必要性
以下の相続手続きには、被相続人の出生から死亡までの戸籍が必要になります。
- 相続人の確定
- 不動産所有権移転登記(相続登記)
- 銀行預金口座の名義変更または解約
- 有価証券の名義変更
しかし、原戸籍から現在戸籍へ移行する際に、削除されてしまった情報がありました。
原戸籍から現在戸籍への変更時に削除されてしまった項目というのは、改製される前に除籍した人や認知した子、養子縁組、離婚などです。
つまり、原戸籍を確認しないとわからない戸籍情報があります。こうした情報を調べるためには現在戸籍の取得だけでは足りず、原戸籍を取得しなければなりません。
原戸籍には、被相続人の身分事項(婚姻・離婚・養子縁組など)に変動があったことが記載されています。被相続人の死亡時の現在戸籍だけでなく、出生にさかのぼって原戸籍や除籍謄本を取り寄せて読むことで、離婚した元配偶者との間に実子がいたり、認知している子や養子がいたりすることが判明するケースもあります。
実子や養子は相続人の権利を有しており、遺産分割協議にも参加してもらう必要があるのです。
この記事はここまでになります。