検認の必要性

ご本人が亡くなられると相続が開始しますが、そのときに遺言書は家庭裁判所で検認手続きを受ける必要があります。

検認手続きが不要とされている遺言は以下の2種類だけです。

  • 公正証書遺言
  • 「自筆証書遺言書保管制度」を利用した自筆証書遺言

家庭裁判所が検認手続きを行うと検認済証明書が発行されますが、上記の検認不要の遺言以外の場合には、遺言書の執行に際して検認済証明書の付属が必要になります。

自筆証書遺言だけを持ち込まれても、法務局も金融機関もそれが真正の遺言書か否かの判断ができません。遺言書に検認済証明書が付されていることによって遺言書の真正性が確認することができて、相続登記や預金引出しなどの遺言執行の手続きを行うことができるのです。

検認の意義

検認とは、相続人に対して遺言の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付,署名など検認の時点における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造および変造を防止するための手続です。

遺言書の形状、加除訂正の状態、日付,署名という明確化の項目は、自筆証書遺言の法定要件ですから、この形式を満たしているかを判断することです。

このように、検認は遺言書についての形式が整っているかどうかを判断して記録するものですから、遺言書の効力を公的に証明する性格のものではありません。

ですから、検認が済んだとしても、遺言の有効性について係争となることもあります。

検認の手続き

検認の申立て

検認の申立てを行う人は、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人になります。

申立て人は、ご本人(遺言者)の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して検認を請求しなければなりません。

申立て先は、ご本人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。

申立てに必要な書類

申立てに必要な書類は以下の通りです。

①申立書

②標準的な添付書類

  • ご本人(遺言者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • ご本人に死亡している子供がいる場合,その子供の出生から死亡までのすべての戸籍

相続人が第二順位、第三順位の場合は、それぞれの関係者の戸籍が必要になります。

検認の通知

申立て書類に不備がなければ、約1ヶ月から1ヶ月半後に、家庭裁判所から検認期日(検認を行う日)が相続人および利害関係人に通知されます。

検認期日

申立人は検認期日の出席は必須ですが、それ以外の相続人等の出席は任意であり、全員が揃わなくても検認手続は行われます。

出席した相続人等の立会のもとに、申立人が遺言書を提出して、裁判官が封入された遺言書については開封の上、遺言書を検認します。

検認の終了後

申請により検認済証明書の取得が可能になります。

検認当日に立ち会うことができなかった相続人等に対しては、家庭裁判所から検認手続きの終了が通知されます。