戸籍謄本とは

戸籍謄本とは、日本国籍を有する者の身分関係(夫婦、親子などの関係)や本籍地などが記載されている公的書類のことです。

戸籍とは

戸籍は、人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録・公証する制度です。また、戸籍は日本国民についてのみ編製されるものですから、日本国籍を有することを公証する唯一の制度でもあります。
ここでいう公証とは、行政的に特定の事実または法律関係の存在をおおやけに証明することを意味します。

戸籍事務は,市区町村において処理されます。
市区町村は、その市区町村内の戸籍を地番の順または五十音順によってつづった戸籍簿を編成・管理しています。戸籍簿には正本と副本があり、正本は市区町村役場に、副本は監督法務局もしくは地方法務局に保管されます。
戸籍簿は公開されますが、その方法は戸籍謄本・戸籍抄本・記載事項証明の交付という形式に限定されます。ですから、直接、戸籍簿を閲覧することは出来ません。

謄本とは

それでは「謄本」とはなんのことでしょう。
謄本とは「文書の原本の内容を証明するために、完全に謄写した書面」のことを意味します。これは「コピー」と意味合いは同じです。
ただし、戸籍謄本における「謄本」では、コピーであることを証明する記述が必要になります。
単なるコピーでは、それが完全に原本と同一である証明は求められませんが、謄本には完全に原本と同一である証明が求められます。この点がコピーと謄本の違いです。
ですから戸籍謄本には、発行する市区町村長名による「原本と相違ないことを証明する」旨の証明文が付されていまる訳です。

戸籍謄本の内容とは

戸籍謄本の実際の内容はどのようなものなのでしょうか。
戸籍謄本には主に以下のような内容が記載されています。

  • 自分、両親、祖父母の名前
  • 出生年月日
  • 死亡年月日
  • 続柄
  • 婚姻歴
  • 離婚歴
  • 出生地と出生の届出人
  • (養子縁組がある場合)養子縁組の内容

戸籍謄本からは、このような親族的な身分関係の情報を読み取ることが出来ます。
ですから遺言作成や相続の際は、戸籍謄本に記載された親族関係から、相続人(推定相続人)を読み取ることができる訳です。

戸籍謄本と戸籍抄本の違い

戸籍謄本とは、戸籍簿に記載されている人全部を複写したもので、戸籍の全部事項証明ともいいます。

戸籍抄本とは、戸籍原本のうち指定する人の部分だけ複写したもので、戸籍の個人事項証明ともいいます。

戸籍謄本を請求できる人は

戸籍謄本には個人情報が含まれますので、誰でも取得することができる訳ではありません。

次のいずれかに該当する人であれば、戸籍謄本を取得することができます。

(1)請求する戸籍に記載されている方、またはその配偶者、直系親族(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)
(2)自分の権利を行使したり、自分の義務を履行したりするために戸籍の証明書が必要な方
(3)戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある方

以上を整理しますと、戸籍謄本を請求する人から見て、直系の親族である祖父母、父母、子、孫等と配偶者の戸籍謄本を取得することはできます。

しかし、直系でない、傍系の親族である兄弟姉妹、おじ、おば、甥、姪等の戸籍を取るには、「戸籍が必要な正当な理由」を具体的に明らかにする必要があります。

なお、行政書士は依頼者から委任を受けることにより、依頼者の代理として取得可能な戸籍を取得することができます。

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