限定承認とは | 豊島区シニアのための相続・遺言・成年後見研究所

相続人の選択肢

ご本人（被相続人）が亡くなると相続が開始されますが、その際に、相続人は以下の三つのうちのいずれかを選択することになります。

ご本人（被相続人）の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべてを、相続人が受け継ぐものです。

被相続人の権利や義務を、相続人が一切受け継がないものです（放棄）。

被相続人の債務がどの程度あるか不明で、財産が残る可能性もある場合等に、相続人が相続によって得た財産を限度として被相続人の債務の負担を受け継ぐものです。

今回は、このうちの　③の「限定承認」について説明していきましょう。

資産と負債の内容が不明であり、相続財産がプラスかマイナスかの判断がつかない場合には、「限定承認」という手続きをとることもできます。

限定承認とは、相続財産に資産と負債が混在している場合に、資産額に限定して負債を相続するという、ある意味、便利な相続方式です。

ただし、申し立てには相続人全員の合意が必要であることや、申請や事後の手続きが煩雑であることなどもあって、利用されている例はあまり多くないようです。

ご本人（被相続人）の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立を行います。

原則として、相続があったことを知ってから3か月以内となります。

相続人全員による申立てが必須です。

相続放棄に比べると書類のボリュームが大きくなります。

・家事審判申立書

・当事者目録

・土地遺産目録

・建物遺産目録

・現金・預貯金・株式等遺産目録

申述人の身分	必要な添付書類
共通で必要となる書類	・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本・被相続人の住民票除票又は戸籍附票・申述人全員の戸籍謄本・被相続人の子（代襲者を含む）で死亡している方がいらっしゃる場合、その子（代襲者を含む）の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
申述人が被相続人の（配偶者と）父母・祖父母等（直系尊属）の場合に追加となる書類	・被相続人の直系尊属に死亡している方がいる場合，その直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本
申述人が被相続人の配偶者のみの場合、又は被相続人の（配偶者と）兄弟姉妹及びその代襲者（おいめい）の場合に追加となる書類	・被相続人の父母の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本・被相続人の兄弟姉妹で死亡者いる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本・代襲者としての甥・姪で死亡者がいる場合、その甥・姪の死亡の記載のある戸籍謄本

家庭裁判所が限定承認を受理すると、限定承認者は、相続財産の清算手続を行う必要があります。また相続人が複数である場合は、申述の受理と同時に相続財産管理人が選任されます。

限定承認者の場合は5日以内に、相続財産管理人の場合は選任後10日以内に、限定承認をしたこと及び債権の請求をすべき旨の公告（官報掲載）の手続を行わなければなりません。

その後は、法律にしたがって、弁済や換価などの清算手続を行っていくことになります。

この記事は以上となります。