※この記事は「相続税の計算 ④個人納付税額の計算」の続きです。

はじめに

相続税の計算 ④個人納付税額の計算」の中で、相続税計算の最終段階である税額控除(同記事の図中⑳)について説明しました。

本記事は、この税額控除の一つである相続税の「相次相続控除」について説明するものです。

お父様が亡くなって相続が開始、その後お母様の相続が開始というように、短い間隔で相続が続くような場合を考えてみましょう。相続発生の都度、相続税を徴収するのはあまりにも酷であり、その救済処置として制度化されているのが「相次相続控除」です。

第2次相続における相続人が、第1次相続で納付した相続税額について、第1次相続からの経過年数に応じ、1年につき10%ずつ減額するものです。

相次相続控除が受けられる人

相次相続控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。

(1)第2次相続の開始前10年以内に開始した第1次相続により、第2次相続の被相続人が財産を取得していること。

(2) 第1次相続において、第2次相続の被相続人に相続税額が課されていること。

(3) 第2次相続で控除を受けようとする人は相続人であること。(相続を放棄した人、相続権を喪失した人が遺贈により財産を取得した場合は、この控除の対象外となる)

相次相続控除額の計算

相次相続控除は、前回の相続において課税された相続税額のうち、1年につき10%の割合で逓減した後の金額を今回の相続に係る相続税額から控除しようというものです。各相続人の相次相続控除額は、次の算式により計算した金額です。

A:第2次相続の被相続人が、第1次相続の際に課せられた相続税額
B:第2次相続の被相続人が、第1次相続において取得した財産の価額
C:第2次相続における財産の価額
D:第2次相続において、その相続人が取得した財産の価額
E:第1次相続から第2次相続までの期間(1年未満の期間は切り捨て)

なお、被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人のうちに農業相続人がいる場合は、一部の計算が異なります。

この記事はここまでになります。