証人を必要とする遺言の方式

遺言において証人の立会が必要とされている方式は結構多くあり、以下の通りになります。

普通方式の遺言

特別方式の遺言

  • 死亡危急時遺言
  • 伝染病隔離者の遺言
  • 在船者の遺言
  • 船舶遭難者の遺言

証人になることができない者

法律で定められた欠格者

民法では、以下の方は遺言作成の証人になることができないと定めています。

つまり、責任能力のない方や、利害関係人は証人になることができないとの趣旨です。

  • 未成年者
  • 推定相続人および受遺者
  • 推定相続人および受遺者の配偶者及び直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記・使用人

事実上の欠格者

民法に明文の規定はありませんが、証人としての任務を果たせない方も、証人になることができないとされています。こういう方を、事実上の欠格者と呼びます。

ただし、証人としての任務はそれぞれの遺言の方式によって異なりますので、一律で決まるものではありませんから、注意が必要です。

公正証書遺言における事実上の欠格者

公正証書遺言の場合の、事実上の欠格者とはどのような方か見ていきましょう。

公正証書遺言の作成において、証人は作成された公正証書遺言書の読み上げを聞いて(あるいは閲覧して)その内容が正確であることを確認し、正確であることを承認した後は公正証書遺言に捺印・押印しなければなりません。

これを整理すると、公正証書遺言の証人に求められる任務は以下の通り整理できます。

  1. 遺言者に人違いのないことの確認
  2. 遺言者が正常な精神状態で遺言の趣旨を口授する確認
  3. 公証人による遺言者の口授の筆記が正確であること
  4. 以上の3点を確認したことを証明するため、公正証書に署名・捺印すること

この列挙した任務を果たすことが困難ですから、以下のような方は証人になることができません。

  1. ご自分で署名の出来ない方
  2. 筆記の正確さを判断する能力のない方

ですから、後見開始の審判を受けた方(事理弁識能力を欠く方)や保佐開始(事理弁識能力が著しく不十分な方)、補助開始(事理弁識能力が不十分な方)の審判を受けた方も、裁判所により証人としての適格を欠くと判断される可能性がありますので、証人とすることを避けることが望ましいです。